缶ビールでステンシル

 電子工作の世界も半田コテと糸ハンダを使った実装が厳しくなってきました。表面実装部品を使うことが当り前になり、スルーホール部品の使用頻度が少なくなりました。それに伴い部品実装はクリームハンダとリフローを使う方法が主流です。

 時代に抗えず我が家もクリームハンダ実装を行います。ところがクリームハンダの塗布が今ひとつ厄介なのです。沢山の基板を作る場合は基板を工場発注すると同時にクリームハンダ用のステンシルも注文してしまうのですが、試作段階の基板や一品モノの基板を作るときなど、ステンシルを発注するのがもったいないなぁと思われるケースです。

 爪楊枝やら何やらを駆使して手作業でクリームハンダをランドに置く作業はそれはそれはしんどい作業なのです。この苦痛を何とかしたいと思い、缶ビールの空き缶をステンシルとして使うことを始めています。

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 ビールを飲んだ後は、捨てる缶をハサミでチョキチョキしておきます。設計した基板データのランド部分に穴データを沢山配置してエクセロンファイルに出力してG-CODEに変換します。そいつをNCにかけて穴あけします。

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 この方法良いところはG-CODEが簡単に作れるところです。普通にドリルデータを作るだけなのでエクセロンファイルをFlatCAMに読み込んでG-CODEを作れば良いだけです。ドリルの径が1つでOKならばツールチェンジしなくて良いのでG-CODEを流しておきさえすれば後は自動的にでき上がります。上の写真は0.9mmのドリルでビール缶に穴を開けた様子です。ドリルでも連続して打てば長穴っぽい物ができます。

 QFPパッケージくらいになるとこの方法ではさすがに厳しいですが、クリームハンダを手で塗布する苦行から大幅に解放されることは確かなのと、今ビールを飲まねばならぬ止むに止まれぬ理由ができる副作用もあって、なかなか良い手法なのであります。