Sable-2015 配電基板を作る

 Sable-2015本体からモータードライバへの配線をまとめたいと考え、配電基板なるものに配線を集約することにしました。ステッピングモータや原点センサ、スピンドルも含めた配線は背面の配電基板に集約されモータードライバへ配線します。

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 この基板は配電目的以外にスピンドルの速度制御機能も兼ねています。Sable-2015のスピンドルセットには専用電源が付いており、軸制御系の電源とは別系統の電源になっています。このように電源を分けておくと、スピンドルから発生するノイズが制御系に回り込みにくく、不具合が起きにくい利点があります。

 取扱説明書のスピンドルのON/OFF制御はSSRを使って100VをON/OFFするようにユーザが実装しましょうとなっています。しかし、grblのスピンドル制御はPWMによる速度制御なので、それを活かすような実装をして行こうと思います。

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 上の回路図はCN-R5GよりPWMを受け取りU4をON/OFFすることでスピンドルの回転数を制御する回路です。24Vのハイサイドは別電源なのでOKとして、問題は制御信号のGNDとスピンドルのGNDを接続しなければならないところです。ノイズがいっぱい載っているスピンドルからの帰還電流をGND経由でその他の回路に伝えない様に考慮する必要があります。

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 対策として、この部分のパターンを小さくまとめる。スピンドル系のGND(ベタ)を分離して帰還電流の通り道から少し離れたところで制御系のGND(ベタ)と接続するようにしました。帰還電流はU4のソースの足からCN_24Vに向かって流れます。さらにスピンドルのケーブルにはパッチンコアを入れました。通しただけでなく、念のため1ターンしました。

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 基板はこれまで使ってきたmini-CNC BLACK 1510で切削しました。mini-CNC BLACK 1510は単一電源で動作しており、以前スピンドルノイズの回り込みに泣かされました。mini-CNC BLACK 1510の駆動回路と制御回路は全て自作で、シリアルラインでPCとアイソレートしているだけで、grblとモータードライバが電源を共有しており、そこがノイズに対する弱点でした。この構成でもスピンドルのラインを、パッチンコアに2ターンすることで誤動作は収まり、以来安定稼働しています。

 一方、Sable-2015のモータードライバはgrblの制御信号をフォトカップラでアイソレートしていますので、mini-CNC BLACK 1510の構成よりもノイズ耐性があります。今のところ配電基板経由の動作でスピンドルを回してもgrblによる制御への影響はなくほっとしています。