振り子時計の振り子回路修理

f:id:jun930:20201221095724j:plain

 壁掛け型の振り子時計、時計は正常だが振り子だけ振らなくなってしまいました。しばらくこの状態で使っていたのですが、電池交換の際に電極がベタベタしていることに気が付きました。

f:id:jun930:20201221100234j:plain

 以前にアルカリ電池を使用して液漏れした経験から、時計の電池はマンガン電池を入れるようにしていましたが、今回はマンガン電池も液漏れしてしまいました。

f:id:jun930:20201221100434j:plain

 液漏れは見つけたときに清掃しておかないと、錆が回ってボロボロになってしまいます。分解清掃を兼ねて動かなくなった振り子をチェックしようと思います。

f:id:jun930:20201221100616j:plain

 グズグズになった振り子用の基板が出てきました。酸っぱい匂いもします。

f:id:jun930:20201221100853j:plain

 コイルの細い線まで緑青に侵されていて、ちょっと触ったら線が朽ちました。これが原因で振り子が止まってしまったようです。

 原因は分かったのですが、長年この時計を使ってきて初めて気が付いたことがあります。昔のゼンマイ式の時計は振り子が時を刻むのですが、クオーツ式の時計は、振り子はお飾りなのでまったく別回路になっていることです。これまで時計が止まると2本の電池を交換していましたが、実は、クオーツ式ムーブメントの電池と、振り子の電池が別だったことを初めて認識しました。取説には書いてあったのかもしれませんが。。

 基板の状態が悪いのでコピー基板に換装するしかないかと思い、基板の部品を取り外し回路をメモします。下の画像はトランジスタの実装方向のメモの画像です。603の刻印ですが、どうやら2SC2603だとわかりました。f:id:jun930:20201221101957j:plain

 ボビンに2重にまかれたコイルの一方が2.2uFのコンデンサと1MΩの抵抗のLPF経由でベースに、もう一方が5.1kの抵抗経由でコレクタに接続されているだけでした(エミッタ接地回路)。コイルの巻き方は不明ですが、振り子の磁石がコイルを通過するタイミングに合わせてトランジスタがON/OFFするような回路です。
 パターンが見えにくい箇所はボロボロになったレジストを紙やすりで削りながら確認したところ、ダメージが大きいのはレジスト部分で下の銅箔は意外と残っていることがわかってきました。全部のレジストを落とすと、一部切れたパターンがあるものの概ね再利用可能な状態になりました。パターン面は軽くフラックスを塗布して部品を再実装、切れてしまったパターンはジャンパーで修正、部品面もやすりで削ってコーティング剤を塗布しました。

f:id:jun930:20201221104430j:plain

 酸っぱい匂いも無くなりましたので、しばらくはこの基板のまま動くと思います。修理作業は時計の構造を再認識するいい機会になりました。次回からは1本づつ電池交換することにします。