電波時計のアクティブアンテナを作る

 我が家の電波時計は室内でほとんど受信できません。液晶に電波マークは表示されるものの時刻を受信することはありません。そんな環境にある電波時計はただのクォーツ時計です。本当に電波が弱いのか電波時計の性能が悪いのか?と考えたら電波を見たくなってきました。昔秋月で購入した電波時計用のアンテナがあったことを思い出したので、電波時計用のアクティブアンテナを自作していきます。

 手元のアンテナは付属のコンデンサが0.012uFで60kHzに共振するものです。40kHzを受信したいので0.027uF付近にするため、在庫のフィルムコンデンサを組み合わせて0.0266uFを作りました。ファンクションジェネレータとオシロを使って共振周波数が40kHzになったこを確認しました。

 次にアンテナモジュールに内蔵するプリアンプを作ります。初段をJFET、2段目をBJTで構成することにしました。

f:id:jun930:20210314205754p:plain

 上の回路の前に初段をゼロバイアス(R2,C2抜きの回路)で試作しオシロに接続してみましたがそれっぽい信号が見えずでした。横着をせずにバイアスありの回路で作ることにしました。ゲートにはアンテナの並列共振回路が接続されますので0V、手元の2SK208-GRのIdssを計測したところ3.5mA程度なので、以下のId-Vgs特性から、Idを1mAと決めたときVgsはちょうど-1VくらいなのでR2を1kΩと決めました。

f:id:jun930:20210314211339p:plain

 電源は少し低めの3.3Vの動作を考慮し1V程度の電圧降下を見込んでR1は切りの良い1kΩとすると、自動的に2段目のバイアスが決まります。それに合わせてR3,4を決定しました。利得は28dB程度になりました。

 しかし信号を見るにはプリアンプだけでは利得不足です。後段のRFアンプを追加します。オーソドックスなエミッタ接地の増幅回路です。これで29dBくらいです。f:id:jun930:20210314212308p:plain

 これらを組み合わせ窓際で受信を試みますが、ほぼノイズしか見えません。微かにノイズのトップが1秒周期でピクついているように見受けられる、そんな気がするレベルの動きです。

 どうやら強力なフィルタが必要そうですので、プリアンプの後段にクリスタルフィルタを追加することにしました。45pFのトリマコンデンサと40kHzのクリスタルを直列に接続して、JFETのアンプで受けるようにしました。

f:id:jun930:20210314214343p:plain

 クリスタルフィルタの効果は絶大です。40kHzの形がはっきり見えるようになりました。

f:id:jun930:20210314214308p:plain

 そして、JJYっぽい波形が見えるようになりました。一連の実験の結果、我が家も窓際ギリギリの位置であればJJYを受信できることがわかりました。

 以下は製作したアクティブアンテナの実装です。タッパーにバーアンテナとプリアンプを収めてRCA端子にオーディオ用のシールドケーブルを接続できるようにしました。

f:id:jun930:20210314214848j:plain

 後段のクリスタルフィルタとRFアンプアンプはミント缶に収め、同じくRCA端子で後段にチェーンできるようにしました。

f:id:jun930:20210314215052j:plain

 5mのケーブルを2本(10m)引き回しても良好に動作しています。

 ここまでの信号が得られれば、電波時計の外部アンテナにするもよし、検波してマイコンで読むもよしですから、このネタはもう少し楽しめそうです。