PSoC1で作るデジタルLメータ

この記事は2008/2/11のものです。

これを作った当時、PSoC1の可能性を強く感じた作品でした。

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このコンテンツは東京デバイセズさんにプリント基板実装して頂き、
 

tokyodevices.jp

 として発売されました。

2012/4/9

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Lメータの自作に関するページです。

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◆位相検波方式のデジタルLメータ

 これはCypress社が販売しているPSoCを使った位相検波方式のデジタルLメータです。上の写真にある28ピンの長細いICがPSoCです。このPSoCオペアンプ(LM324)とLCD(SC1602B等)を追加しデジタルLメータを製作しました。

測定範囲 1μH~100mH
最小分解能 0.099μH
レンジ 100μH、1mH、10mH、100mH
測定周波数 1kHz
測定電流 約1.6mA,0.4mA,0.1mAの切り替え
検出端子 4端子方式
測定方式 位相検波方
校正方法 基準抵抗10Ωによる
電源電圧 5V
消費電流 約25mA(LCDバックライト消灯時)
精度 不明

◆雰囲気だけでも精度が知りたい・・・

 測定器の製作で悩ましいのは校正ですよね。なるべく手軽な方法を考えた結果10Ωの金属皮膜抵抗を基準にする方式にしました。10Ωの抵抗を基準にしてどの程度の精度なのか?しかし、高精度な計測環境がありません。とりあえず手持ちの測定器で比較したいと思います。登場するのは古式ゆかしいブリッジと、ちょっとレトロだけど一流メーカーのLCRメータです。

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三田無線研究所のミニブリッジ

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HP のLCRメータ

いろいろな値のマイクロインダクタを使って比較します。

 
DELICA MINI-BRIGE M1-D
HP 4332A LCR METER
PSoC デジタルLメータ
1R0
0.74uH
0.9uH
1.0uH(Range=0)
100
9.95uH
9.4uH
10.0uH(Range=0)
330
29.8uH
30uH
31.4uH(Range=0)
101
98.02uH
99uH
102.0uH(Range=0)
331
324uH
310uH
327uH(Range=1)
681
682.8uH
660uH
679uH(Range=1)
102
1.01mH
1.00mH
1006uH(Range=1)
562
5.40mH
5.30mH
5.40mH(Range=2)
822
7.84mH
7.60mH
7.79mH(Range=2)
103
9.83mH
9.80mH
10.08mH(Range=2)

 今のところ絶対的な精度を知ることはできませんが、見比べた感じではまぁまぁな状態になっていると思います。PSoCなかなかやるじゃん!

 

◆位相検波式の計測器に思うこと

 電子工作に手を染めると色々な測定器が欲しくなるわけですが、測定器メーカーの位相検波式のインピーダンスメータは値段が高くてなかなか手が出ません。この方式の測定器はにある種のあこがれがあったりします。Lしか測れないささやかな物ですが、PSoCを使うと少ない部品で実装することができます。日本語で書かれた唯一の本も絶版になってしまいましたが、PSoCはなかなか強力なデバイスです。今後も応用を考えていきたいと思います。

 

◆2号機誕生(2008/1/21)

 ちゃっぴーさんより2号機の写真(調整中の様子)が届きました。おぉー!

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